日本百名山の一つ、越後ノ國妙高山は古代より仙界の霊峰として信仰も篤く、
人々に崇め親しまれて参りました。また、岡倉天心先生の終焉の地でもあり、
近代日本画壇の巨匠 横山大観先生等の建立「天心岡倉終焉之地」の碑があり、
晩年を過ごした敷地内 六角堂には平櫛田中先生作の天心像が安置れております。
その妙高山の麓、赤倉に開窯八年の歳月を経て五連房登り窯を築窯致しました。
登り窯は今から四百数十年前凡そ朝鮮の國より九州唐津周辺や長州萩地方等に
渡来人により伝えられたとされております。
就者陶工として本物と呼ばれる焼き物造りを追い求め、松の薪で焚く登り窯と
九州唐津焼の技法を取り入れ、妙高山の麓、赤倉にて生涯の天職と致したいと思います。
皆様方の御助言や御批評を賜わりながら作陶の道に邁進して参りたいと存じます。
何卒、今後共宜しくお願い申し上げます。
越後焼妙高赤倉窯とは
大学生の頃から敬愛していた唐津焼の重鎮 田中佐次郎先生と、2010年にご縁を頂いて以来、
先生からは「本物の仕事をしなさい」とお言葉を頂いて参りました。
先生が当地へご指導に足を運んで下さった中で、一番最初に近隣の山々を一緒に回って下さり、
唐津の土に似た土を見付ける方法をご指導頂きました。流通が発達している今日、電話一本や
インターネットで簡単に各産地の土が手に入る時代ですが、焼き物の本来あるべき
「身近の土を使い、薪の窯で焼く」という、基本を外さずに制作していきたいと思います。
また、焼き物の材料にも恵まれている事に加えて、岡倉天心先生を始め、多くの文化人が愛した
風光明媚な当地、妙高の地で制作しておりますので、身の回りに感じる自然の美しさを少しでも
器に表現したいと思考錯誤しております。
栗山 像心